関数の極値とは,簡単に言えば「まわりのどの点での値よりも大きい(小さい)値をとる点での値」です.1変数関数の場合は「微分が0」の点(狭義にはさらに2回微分が0でない点)が極値をとる点ですが,2変数の場合はもうすこし複雑です.
まず,つぎのことは言えます.
z = f(x, y) が(a,b)で極値をとるとき,fx(a,b) = fy(a,b) = 0.
しかし,「fx(a,b) = fy(a,b) = 0」のとき必ず(a,b)で極値をとるわけではありません.いくつか例を見てみましょう.
この例では,たしかに(0, 0)で極値をとっています.
しかし,
この場合,fx(0, 0) = fy(0, 0) = 0ですが,極値ではありません.fxx(0, 0),すなわちx方献慧の接瀬慧の傾きの(0, 0)での変化率と,fyy(0, 0),すなわちy方献慧の接瀬慧の傾きの(0, 0)での変化率の符号が逆のため,このようなことがおこります.このような点を鞍点(saddle point)といいます.
ところが,さらに次のような場合もあります.
fxx(0, 0)とfyy(0, 0)は異符号ではありませんが,やはり(0,0)は鞍点になっています.この場合,zが作る面が(0,0)でねじれています.
C2級(2階連続微分可能)関数z = f(x, y)において,fx(a,b) = fy(a,b) = 0とする.このとき,
について,
(1) 「fxx(a, b) > 0 かつ |H| > 0」(これを「Hが正定値である」という)ならば,zは(a,b)で極小値をとる.
(2) 「fxx(a, b) < 0 かつ |H| > 0」(これを「Hが負定値である」という)ならば,zは(a,b)で極大値をとる.
(3) |H| < 0 ならば,zは(a,b)で極値をとらない.
( |H| = 0 のときは,(a,b)で極値をとるかどうかはこの定理からは言えません)
(上のHを「ヘッセ行列」といいます)
また,次の「シュワルツの定理」も重要です.
f(x,y)がC2級ならば,fxy(x,y) = fyx(x,y)である.