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シドアルジョ
の泥
(2007. 9)
photo

2007年9月に,インドネシア・スラバヤを訪れました.これで3回目のスラバヤ出張です.

帰国すると,いろいろな人から「スマトラ島で地震があったそうですが,大丈夫でしたか?」と聞かれました.今回の地震は,スラバヤから1,500kmも離れたところでおきたので,幸い無事でした.

このように,日本の人々は地震には非常に敏感で,海外の地震のニュースもすぐに報じられます.一方,スラバヤ市のすぐ近くで,1年半前から続いているこの災害は,日本ではほとんど知られていません.

2006年5月に,スラバヤの南にあるシドアルジョ(Sidoarjo)県のポロン(Porong)というところにあるガス田で,掘削中に熱泥が噴き出しました.さまざまな努力にもかかわらず,今も泥の噴出は止まらず,周囲5km四方が泥に埋まり,本サイトでも「日の出」のページでご紹介した,高原都市マラン(Malang)へ向かう高速道路も不通となっています.

けっして気軽に写真を撮ってきてよいものではないのですが,今年近くを通りかかったのを機会に,この災害を皆様にお知らせすべく,いくつかここに写真を掲載させていただきます.

この災害について,誰がどの程度の責任を負うべきかが難しいこともあって,家や職場,土地を追われた人々への補償やインフラの復旧は,なかなか進んでいないようです.なお,シドアルジョには,えびの養殖場がたくさんあり,多くは日本に輸出されているそうです.もしも硫化水素を含む熱泥が養殖場に流れ込めば,もう2度と復旧できないといわれています.その意味で,けっして日本と無縁な災害ではありません.

  • 付近の航空写真と地図(Google Map).上のほうにスラバヤ,真ん中の少し下にシドアルジョ,下のほうにポロンがあります(見えない場合は,上下にスクロールしてみてください).

※写真をクリックすると別ウィンドウで拡大します.

※このページの写真は,シャープの携帯電話SH901iSで撮影しました.

shima スラバヤから南に向かう高速道路は,ポロンICの先で途切れているため,ポロンICはマラン方面へ向かう車で大渋滞になっています.
Guide 高速道路の出口には,村の中の細い道をバイクで先導して,マラン方面への車を案内する「道案内屋」がたくさんいます.昨年私の研究室で博士を取得したスラバヤ工科大の先生が,その中のひとりと交渉してくださり,案内してもらいました.
Traffic 途中には「交通整理屋」もいて,「道案内屋」がまとめて支払ってくれます.家を失った人々が,こういう仕事で生計をたてているそうです.
Village 放棄された村です.
Explosion 中央の,遠くに見える煙が「噴火口」です.写真を拡大してみると,左側の遠くのほうに,ダンプカーがいくつか見えます.これは,泥を食い止める堤防の工事のものですが,このような堤防はすでに一度決壊しており,その効果は疑問視されています.
Tomb 泥に埋まったこの場所は,墓地だったそうです.写真には写っていませんが,墓地の門だけが残っていました.

参考リンク

(2007年9月掲載)

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