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サイエンス
2007
情報科学総合演習II
2007年度後期
総合科学部専門教育
[1月21日3, 4時限・
 総合科学部C808]

講義に出席した皆さんは,おつかれさまでした.

演習について

みなさんよくできていました.提出した人は,全員満点です.

演習の問題

プリンタの印刷見本に,「藤棚」や「満開の桜に覆われた山」などの,細かい画像が用いられるのはなぜですか.

解答例

もともと細かい画像では,明暗の境界での表現が,元の画像と印刷結果で少々違っていても,それほど気にならないから.

解説

講義中で解説した,JPEG方式による画像圧縮では,8×8画素に分割した各小画像を,明暗の縞の足し合わせで表し,細かい縞を省略することで,データ量を減らします.省略により,画像の細部は元の画像と違ってしまいますが,藤棚の写真のように,もともと小さな物体がたくさん写っている画像では,少々細部が違っていても,その違いには人間はあまり気づきません.

また,同じく講義中で解説した「テクスチャ」においては,テクスチャは「模様」ですから,2つの画像がそっくり同じでなくても,模様としては同じ,ということがあり得ます.テクスチャ解析では,その模様としての特徴を,計算可能な形で記述する,ということを試みています.

このように,イメージサイエンスにおいては,画像をありのままに表現するだけでなく,画像が人間にとってどう見え,どう感じるかを考えた,画像処理の方法を研究しています.

なお,講義では説明していませんが,プリンタで印刷する印刷物には,特有の事情があります.カラープリンタでは,インクの色の濃さは調節できないので,3原色各色の点の密度の違いで色を表現します.したがって,3原色のうちのある原色が少しだけ混じっているような色を表現するには,その原色の点を,まばらに打つ必要があります.このとき,その色が広い面積を占めていると,まばらに打ってある点が目立って見えてしまうことがあります.また,広い面積でなだらかに色が変化するような画像だと,本来ないはずの色の境界線(偽輪郭)が見えてしまうこともあります.こういうことがおこらないように,プリンタの印刷見本に,色がもともと細かく変化している「藤棚」などの画像を使うのです.

当日の資料

  • プレゼンテーション[PDF]
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参考資料

Japanese