基礎数学演習I 微分学(7)
曲線と接線,曲面と接平面


曲線と接線

 平面での曲線と,その接線について考えてみましょう.xy平面上のすべての平面曲線を表すには,x, yをそれぞれパラメータtの関数で表す「パラメータ表示」で考える必要がありますが,ここでは簡単のためy=f(x)と表される場合のみ考えます.

曲線上のある点(x0, y0)での関数f(x)の微分係数は

    (1)

と表されます.ここで,点(x, y)を(x0, y0)に近い曲線状の点と考えると,dyとはyの微少な変化すなわち(y-y0),dxとはxの微少な変化すなわち(x-x0)です.これを上の式に代入すると

  (2)

となります.さて,xやyの「微少な」変化とは,どのくらい微少ならよいのでしょうか?それは,式(1)のように,「xの変化に対するyの変化の割合が定数」である程度微少であることです.これは「yの変化とxの変化が1次の関係であらわされている」ことを意味しています.そこで,(2)の関係を(x0, y0)に近くない(x, y)に延長すると,それらの(x,y)は「(x0, y0)を通り,傾きがf'(x0)の直線」,すなわち(x0, y0)での曲線y=f(x)の接線になります.


ところで,y=f(x)のかわりにF(x,y)=0で曲線を表した場合を考えてみましょう.このような表し方を陰関数表示と言います.F(x, y)=0をxで微分すると,

   (3)

となり,(∂x/∂x) = 1,(∂y/∂x) = f'(x) ですから

,すなわち

   (4)

となります(これを陰関数定理といいます).これを式(2)に代入すると

,すなわち

   (5)

が得られます.


曲面と接平面

 上と同様に,今度は3次元空間での曲面とその説明面について考えてみましょう.こちらでも簡単のために,xyz空間での曲面がz=f(x,y)で表される場合だけについて考えます.

「偏微分と全微分」(6月4日)の時に説明したように,z=f(x,y)の全微分は

   (6)

で表されます.この式は,zの微少な変化dzと,xの微少な変化dxおよびyの微少な変化dyの関係を表しています.さて,ここでいう「微少な」変化とは,どのくらい微少な変化なのでしょうか?それは,zの変化が,xの変化の定数倍とyの変化の定数倍の和で表せるくらい,すなわちzの変化とxの変化・yの変化が1次の関係にあるぐらい微少な変化であることを意味しています.

さて,曲線と接線の場合と同様に,曲面上の点(x0, y0, z0)と,そこに近い点(x, y, z)を考えると,dz=z-z0,dx=x-x0,dy=y-y0ですから,点(x0, y0, z0)での全微分を考えると

   (7)

が得られます.これを(x0, y0, z0)に近くない(x, y, z)にも延長すると,これは「『点(x0, y0, z0)におけるzの変化に対するxの変化・yの変化の割合』を傾きとして持ち,点(x0, y0, z0)を通る平面」すなわち点(x0, y0, z0)での接平面を表します.


z=f(x,y)を陰関数F(x,y,z)=0で表した場合も,曲線と接線の場合と同様に考えます.F(x,y,z)=0をxで微分すると

となり,(∂x/∂x) = 1,(∂y/∂x) = 0(∵xとyは独立な変数),(∂z/∂x) = fx(x,y) ですから

,すなわち

  (8)

が得られます.同様にF(x,y,z)=0をyで微分することで,

  (9)

が得られます.式(8),(9)を式(7)に代入すると

,すなわち

が得られます.



 
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