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このページは,過去の講義のページを,新しいウェブサーバ用に再構成したものです. プリント当日配ったプリント参考プリント演習の問題と回答1.文字の画像を圧縮するのに,JPEG方式はあまり用いられないのはなぜですか. JPEG方式は,さまざまな周波数の明暗の波を組み合わせて画像を表現し,高い周波数(つまり「細かい」)の波を省略することで,画像データを圧縮する方式です. 文字の画像では,文字の輪郭が明暗の明確な境界で表されているので,この境界がぼやけてしまうと文字が大変読みにくくなります.ところが,明暗の明確な境界を波の組み合わせで表現するには,無限に高い周波数の波が必要で,JPEG方式のように高い周波数の波を省略してしまうと,明暗の境界がぼやけてしまいます.ですから,文字の画像にはJPEGはあまり用いられません. 一般の画像では,もともとそれほど目立った明暗の境界はなく,境界が少々ぼやけても画像の見た目にはあまり影響がないので,JPEG方式は適しています.それでも,波の省略をしすぎると,講義中に見せた画像のように,背景と物の境界で本来ないはずの明暗の波が現れることがあります. 2.プリンタの印刷見本に,「藤棚」や「満開の桜に覆われた山」などの,細かい画像が用いられるのはなぜですか. これはJPEG方式とは直接関係ありませんが,要は「もともと細かい画像では,明暗の境界での表現が元の画像と印刷結果で少々違っていても,それほど気にならない」からです. (ここからは,講義の話とは離れます)モニタ上の画像では,画像の各点での色は,点を構成する3原色各色の明るさによって表現されます.これに対して,印刷物ではインクの色の濃さは調節できないので,3原色各色の点の密度の違いで色を表現します.したがって,3原色のうちのある色が少しだけ混じっているような色を表現するには,その原色の点をまばらに打つ必要があります.このとき,広い面積にわたって同じ色だと,まばらに打ってある点が目立って見えてしまうことがあります. また,広い面積でなだらかに色が変化するような画像だと,本来ないはずの色の境界線(偽輪郭)が見えてしまうこともあります.こういうことがおこらないように,色がもともと細かく変化している「藤棚」などの画像を使うのです. |