夕陽の街
(2010. 8)
photo

大阪市営地下鉄谷町線に「四天王寺前夕陽ヶ丘」という駅があります.「夕陽ヶ丘」というと新興住宅地のような地名ですが,実は大変由緒のある名前で,鎌倉時代初期の歌人藤原家隆が晩年ここに住み,夕陽を拝み極楽往生を願う「日想観」を行ったという故事にちなむものです.

私の故郷の大阪市は,西側が海で開けていて,しかも中心部が南北に伸びる台地上にあるため,夕陽の景色が美しい土地です.今回は,大阪で撮影した夕陽の写真と,広島湾で撮影した2010年1月の日没帯食の写真をご紹介します.

四天王寺と夕陽

「四天王寺前夕陽ヶ丘」という駅名が示すとおり,四天王寺は夕陽ヶ丘の近くにあります.四天王寺の西門は真西に向かって建てられており,この門は西方浄土への入口といわれていて,夕陽への信仰が古くから行われてきました.([地図],ポインタが西門の位置)

yuhigaoka01

四天王寺西門(奥)と,入口にある鳥居です.四天王寺は「和宗総本山」であり,石柱には「大日本佛法最初四天王寺」と書かれています.

yuhigaoka02

西門の内側から西に沈む夕陽を見たところです.残念ながら撮影したのが2010年3月13日で,春分よりも1週間早かったため,鳥居の向こうに沈むところは写せませんでした.

四天王寺では,春分・秋分の日には「日想観法要」が行われます.これを報じる下の記事に,鳥居の向こうに沈む夕陽の写真が掲載されています.

yuhigaoka03

夕陽ヶ丘が夕陽の名所である理由に,西側が急な下り坂になっていて,視界が開けているということがあります.上の写真は,四天王寺前交差点から見た夕陽です.通天閣は,坂の下のかなり低いところに建っています.

明石海峡大橋と夕陽

akashi01

梅田スカイビルの空中庭園から撮影した,明石海峡大橋に沈む夕陽です.撮影したのは2010年2月19日です.年に2回,それぞれ約1週間に限り,この景色を見ることができます.([地図広域地図])

akashi02

梅田スカイビルはこんな形のツインビルで,2つのビルを最上部でつないでいる部分が空中庭園になっています.ここは,高層ビルからの景色を窓越しではなく外に出て見られる,数少ない場所です.ただ,外に出ると風が強く,またこの日は雪も降ってきて大変でした.

新夕陽ヶ丘

shinyuhigaoka01  shinyuhigaoka02

大阪湾岸の埋め立て地「舞洲」には,「新夕陽ヶ丘」という場所があります.これは人工的に造られた小高い丘で,広い範囲に視界が開けています.右の写真は,新夕陽ヶ丘から西側を見たところです.([地図])

shinyuhigaoka03

新夕陽ヶ丘から見た,神戸方面に沈む夕陽です.この日(2010年3月12日)は曇っていましたが,雲の間に大きな夕陽が見えました.

夕陽に映えるビル

OBP

初夏の夕陽に映える,大阪ビジネスパークのビル群です.こういう景色は,大阪で育った私には見慣れたものなのですが,実は西側の開けた大阪ならではの景色であることに,別の土地に住むようになって初めて気づきました.
(2010年6月5日に,大阪城そばの大坂橋の上から撮影[地図])

日没帯食

nisshoku01  nisshoku02

2010年1月15日に,西日本一帯で太陽が日食で欠けたまま沈む「日没帯食」が観測されました.このときも大阪に撮影に行こうかと思いましたが,大阪では欠け始めから日没まで20分しかなく,撮影は難しいと思われましたので,広島の宇品海岸([地図])で撮影しました.幸い天候にも恵まれ,宮島に沈む欠けた夕陽を撮影できました.

冬の海岸では,日が沈むと一気に気温が下がり,大慌てで機材を片付けて退散しました.太陽の力の偉大さを感じました.

梅田スカイビルの写真は,Panasonic Lumix FX500で撮影しました.その他は,Canon EOS Kiss X2, 18-55mm / 75-300mm レンズで撮影しました.