ayumi
非線形画像フィルタの解析と設計
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画像フィルタとは,入力画像を,それに類似しているがより望ましい出力画像に変換する処理です。一般には,ノイズの除去,エッジの抽出や強調といった処理がこれに当たります。また,通常,画像のどの場所でも同様の処理を行う(シフト・インヴァリアント)なものを想定しています。

画像フィルタの中で,実空間フィルタとよばれるフィルタは,入力画像の各画素において,その近傍の画素とで何らかの計算を行ない,その結果を出力画像の対応する画素に書き込みます。この計算が,線形であるかそうでないかによって,実空間フィルタは,概ね「線形フィルタ」と「非線形フィルタ」に分けられます。

線形フィルタは,電気回路での信号処理以来の長い歴史があり,さまざまな解析・設計の理論が研究されてきました。これに対して,非線形フィルタには無数の種類があります。

非線形フィルタの中に,中央値などの「順序統計量」を用いるフィルタがあります。中央値フィルタ(メジアンフィルタ)は,画像中の画素のいくつかが,元の画像とは無関係な値に入れ替わってしまう「インパルスノイズ」に対して,非常に効果的であることが知られています。そこで,インパルスノイズを除去しつつ,画質を損なわないフィルタを開発し,最適なパラメータを決めるための研究が進められてきました。

われわれは,この分野において,劣化画像例と理想出力例を用い,ニューラルネットワークの学習能力を使って,最適なパラメータを求める方法を開発しました。また,適当な制約条件を用いることによって,理想出力例なしに最適なパラメータを求める方法も開発しています。

この研究は,私が大学院生のときにはじめた研究です。その後ブランクがありましたが,後になって,関西大学・棟安実治先生との共同研究で,再びこの分野に取り組みました。また,「マセマティカル・モルフォロジとテクスチャ画像」の研究,「パターンスペクトラムとフィルタ最適化」の研究は,このフィルタの研究から派生したものです。

私が大学院生のときに,非線形フィルタのために研究した「シフト・インヴァリアントなニューラルネットワーク」は,現在ではコンヴォリューショナル・ニューラルネットワーク(CNN)とよばれ,ディープラーニングにおける重要な手法となっています。「歴史はらせん状に繰り返す」のを見ると,感慨深いものがあります。

 

※上にある猫の写真は,大学院生のとき,研究用の画像例としてよく用いたものです。この猫については,「あゆみのお話」のページをごらんください。

 

おもな研究発表

近年の研究

※テクスチャとモルフォロジカル・フィルタの研究については,「マセマティカル・モルフォロジとテクスチャ画像」のページをごらんください.

 

その他の基礎画像処理に関する研究

 

1990年代の研究