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マセマティカル・モルフォロジとテクスチャ画像
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テクスチャとは「模様」のことで,物体の模様を認識・識別することは,物体の形を認識することと並んで,画像処理の重要な目標のひとつです。テクスチャには,それを構成する基本単位やその繰り返しの度合い・ばらつきの度合いなどの特徴が同じであれば,そっくり同じ画像でなくても同じテクスチャだと認知される,という性質があります。そこで,テクスチャのもつ特徴をとりだし,テクスチャの認識や生成に役立てようという研究です。

われわれは,「テクスチャは,ある要素図形(primitive)から派生した粒子(grain)が配列されて生成されている」というモデルを考えています。このモデルでは,テクスチャの特徴は

の3項目で表されます。

このモデルでは,上の3項目のうちいずれかに何らかの仮定をすると,他の項目を推定することができます。極端な例をあげれば,「要素図形=粒子がテクスチャそのもので,それを画像の中央の一点に配置」「要素図形=粒子が1画素の点で,空間配置がテクスチャそのもの」というのも正しい推定結果のひとつです。しかし,このような自明な推定結果にはもちろん意味はありません。私たちは,適切な仮定のもとに,図形に対する演算理論のひとつ「マセマティカル・モルフォロジ (mathematical morphology)」と,定めた条件にもっともよくあてはまるパラメータをさがしだす「確率的最適化法」を基礎として,テクスチャ特徴の推定問題に取り組んでいます。

テクスチャ特徴推定のひとつの応用として,画像フィルタの最適化があります。これは,テクスチャの特徴を推定し,それに合わせたフィルタパラメータをもつ画像フィルタを使うことで,対象のテクスチャが本来持つ特徴と,ノイズとして除かれるべき特徴を分離し,良好なノイズ除去を行うものです。

さらに,推定されたテクスチャ特徴を変化させることで,テクスチャのローカルあるいはグローバルな特徴をそれぞれ別々に変形したり,2つの異なるテクスチャの各特徴をミックスしたテクスチャを生成することができます。この手法を,われわれはテクスチャに対する人の感性の研究に利用しています。この研究では,複数の種類のテクスチャがもつ特徴を合成したテクスチャを新たに作り,作られたテクスチャに対する人間の感性を数値化することで,テクスチャのどのような特徴が感性に影響するかを調べます。

マセマティカル・モルフォロジの応用の研究,テクスチャと感性の研究は,現在も継続しています。テクスチャと感性の研究については,「人の感性と画像特徴量」のページをごらんください。

 

おもな研究発表

マセマティカル・モルフォロジの応用

 

テクスチャの特徴推定・画像フィルタへの応用

 

テクスチャの生成

 

マセマティカル・モルフォロジに関する著書

 

マセマティカル・モルフォロジの解説